流れ者の浪人がねぐらに決め込んだ寺のお堂で、今度はお家騒動に巻き込まれる。
黒澤映画の典型的な娯楽時代劇。僕にとっての黒澤映画はもうアクションしかない!
これまたストーリーはニ転、三転。やっぱり面白い。破天荒な無国籍映画『用心棒』に較べてこの作品は随分日本の時代劇になっている。様式美が映像のあちこちに見える。
今度のお姫様はおっとりしすぎて、美しさがない。その分中代達矢が全編で立ち回る。最後はお約束で三十郎と中代達矢の一騎討ちとなるのだが、これもよろしい。血の量が多すぎて「をいをい」という向きも有ろうが、いやいや、これでいいのだ。うんうん。
この作品は『用心棒』の続編として作られたそうだ。初め『用心棒』は単発の予定だったが公開したら余りに人気が高いので東宝が翌年もう一作続編をと頼んだのだそうだ。その分役者も作りも豪華になっての三十郎再登場というわけだ。
この流れは最近のハリウッド映画のようだ。言わばノリの世界だ。日本映画にもそう言う時代があったのだと思う。今考えてみたら三十郎の二作はまるで『ダイ・ハード』そっくりじゃないか。
音楽が佐藤勝という人なのだけれど、この人は黒澤作品の幾つかに顔を出している。佐藤さんの映画音楽はいろんな楽器を使っていて、これは一体何の音だ?と楽しませてくれる。気がつけば僕が好きな黒澤映画はほとんど佐藤さんの音楽だ。
同じ様なアクション映画としてはこの椿三十郎の前作である『隠し砦の三悪人』がある。