Cinema Review

ふたり

監督:大林 宣彦
出演:中嶋 朋子石田 ひかり

仲の良かった姉を事故で亡くした妹が、しっかりものの姉の幽霊(!)の助けを借りながら成長して行く姿を描いている。コミカルではあるが、それ以上に少女の自立を真摯に描いている。

主演は一応石田ひかりという事になるのだろうか。確かに石田ひかりも独特の雰囲気のある妹役をしっかり演じて良いのだが、僕はそれよりも気丈な姉役を演じた中嶋朋子が気に入っている。気丈なと言うよりは凛としていて、矜持を感じる。中嶋朋子は『北の国から』というテレビドラマで有名で、そこでも自立心の強い女性役ではあるが、そこではこの矜持は見られない。特にこの『ふたり』では強さと同時に繊細さ、脆さを常に感じさせている。ひょっとしたら僕は見た目にダマされているのか?中嶋朋子は比較的変な役柄が多いが、ここでは実に素直に清楚な女子高生を演じている。実年齢はそれよりかなり高かったはずだが、それほど違和感は無い。この時見せる中嶋朋子の笑顔は実に良い。もう何とも説明できない!(石田ひかりに至っては初めは中学生という設定だ。これには少し無理があるか。)

全編比較的コミカルで、やめときゃいいのに的な合成部分も散見される。ものすごくあざとい演出も相変わらず快調だが、もっとメルヘンチックに現実離れすればファンタジーになったのに、中途半端で僕には面白くない。

それでも『はるか、ノスタルジィ』に続いて大林監督で薦められる映画だ。

僕はこの作品はロードショーのときに劇場で見た。ハイビジョンで元々作られたと言うことで、絵の品質は余り良くないと思ったものだ。たまたま小さな劇場(朝日シネマ)で見たが、それに丁度合う(良い意味で)小さな映画だった。

Report: Yutaka Yasuda (1995.05.25)


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